日産にゴーン社長が来たころ、
レースに参加してもビリ争いする弱小チームを
責任者就任から1年で優勝させた人が居ます。

これは高校ラグビーのスクール・ウォーズとか
甲子園のように選手が数年で入れ替わるような
監督の状況とはわけが違います。

まず、エンジンの開発が海外の最先端より
10年くらい遅れている。(やっていない)
莫大なお金を掛けていまから始めても
その1年で最先端のチームはさらに先に行く。

そして、そもそもの予算がない。
人数も予算もは他チームの約6分の1以下で
1年以内に結果を出さなければならない。

そこでいきなり
優勝してしまったわけです。

なぜ、そんなことができたのか?

一見して不合理なことが
なぜできたのかを聞けば、
論理が美しすぎて、感動します。




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●非常識な本質
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のちにMr.GT-Rの称号と
明快で歯に衣着せぬ語り口で有名になる
水野和敏さんの大逆転へのリーダーシップは
非常識なものばかりでした。


★例外的に水野さんに権限が集約する1トップ制

ゴーン社長からの指示で、従来の1車種3トップ制ではなく、
車両開発、商品企画立案責任者、収益・販売目標達成責任者、
通常3人の責任者で担当する権限を1人に集中させました


★チームの人数を減らした

人が多いと管理業務が発生するので
顔がわかってゴールへの熱を共有できる人数にまで
一氣にスタッフを減らしました。

この非常識ぶりをたとえるならば
15人で戦うラグビーで、弱いうちは7人でやる!
みたいなインパクトです。

もっとみんなが頑張る、では超えられないレベルの
何かしらのブレークスルーが必要になる選択です。



★最も優秀な技術者を現場から外した

ピットで最も優秀な技術者を現場から外し、
その技術者が見込んだ4人を教育することだけをやらせました。

なんであいつのような人が育たないんだ!
ではなく、逆にそのお手本を現場から引き上げさせる。

最も優秀な人を、プレイヤーとして使いながら
教育役もさせる、ではダメだったんですね。

現場から外してモニタリングだけに集中させる。

彼を見て後輩を学ばせるでもなく、
丁寧に教えさせるでもない。

優秀だからこそ、強制的に手を止められて
観察に集中するといろいろな改善点に氣づきます。
革新的なアイデアが出てきます。

単なる知識を横流しするインストラクターではなく、
自分だけがわかればいい技術を探求する職人でもなく、
自分を超える人材を何人も生み出す教育者であること。

最も優秀な人材を教育者にコンバートするという
水野さんのこの采配は、
チームの飛躍的な技術力向上をもたらします。




そして、さらに業界の常識の逆を行って
ジャーナリズムには叩かれまくることをします。


★車体の軽量化を追わないようにした

★エンジンの高馬力化を追わないようにした


それまで、
エンジンの開発とは馬力を上げる開発でした。
馬力を有効活用するために、車体は軽い方がいい。

それが常識でした。

でも、それは本当だろうか?


レースで一番早くサーキットを回って
一番でゴールするために
本当に一番重要なことはなんだろうか?




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●本当にそれは重要なのか?
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水野さんは誰よりも早くゴールするクルマを作るために
レースの本質を徹底的に観察します。

なんどもなんども
サーキットに足を運び、
ひたすらレースを観察します。

そして、あることに氣が付きます。

「世界最高の700馬力のエンジンが
 実際のレースでフルに性能を発揮しているのは
 レースのわずか18%程度である」


氣づいてしまえばなんのことはないこの発見が
ブレークスルーポイントになります。

つまり、
どれだけ馬力のいいエンジンを作っても
実際に活用されるのはレース時間の2割以下ならば
残り8割の時間を最も高性能で走れるエンジンを
開発すればイイ。

たとえ馬力の絶対量は大きくなくても
アクセルを踏み切らない時に高性能を出せる
エンジン像が見えてきました。

それを、
当時海外の最先端700馬力のエンジンを
製造していた工場に発注します。
500馬力のエンジンで700馬力に勝つ。

車体重要も同じように
得たい結果の本質から逆算して
あえて重い車体を選びます。


その後、GT-Rは新モデル開発や
販売手法でも業界の常識に反する方法を取りながら
商業的にも成功して、日産のブランドと利益を
復活させました。


もしこのエピソードから本質を学び
自分の仕事や人生に活かすとしたら
何を辞め、何を新しくはじめるでしょうか?



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●あなたの8割に影響するポイントを見つけ出すには?
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水野さんのひらめきの原因は
自己啓発やコーチング的には以下のように説明できます。

★(レースで1番速く走るクルマを作るという)
 明確なゴール設定があったこと

★情熱を持って大量の時間を注いだこと


ゴールに対しては強いコミットメントを持ちながら
方法には柔軟性を持たせるリーダーシップ。

そのリーダーシップの元に大量行動をした結果
業界の誰もが盲点となっていた
「レースの8割はエンジンを最大限使っていない」
ということに気づくわけです。


勉強熱心なのに結果が出ない人は
・ゴール設定が曖昧で他人ごとではないか?
・そもそもの行動の絶対量が不足していないか?
・方法に柔軟性を欠いていないか?

この3つをチェックしてみるといいかもしれません。

☆ゴールに対して明確な臨場感を持つ。
☆情熱を持って大量の行動をする。
☆方法に関して柔軟性持って自由にアイデアを出す。


そして新しいアイデアは
結局既存のアイデアの組み合わせなので
既存のアイデアの蓄積が多いほうが
当然いいアイデアが出やすくなります。

・ゴール設定
・行動量
・柔軟性

この3つは、どれかひとつがダメだと
他がいくら優秀でも
全体の結果は良くなりません。

・目標だけ高い夢見がちな人
・無計画に行動だけしてる人
・やることがころころ変わる人

自己モニタリングして
改善のための意識を持つことからはじめて
盲点になっているところに光を当てましょう。

そこに効果を最大化する
最重要ポイントが見つかるはずです。



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●人の知恵も借りて最短で盲点を発見するには?
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そして水野さんのように
限られた資源の中でも大逆転を可能にする
ブレークスルーの方法を

既に経験のあるメンバー全員の知恵を持ち寄って
全員納得のもとで論理的に探しせる方法が、
制約理論です。

昨日よりもさらに興味が高まりました?(笑)


昨日のアンケート結果は以下のとおり、
あまり差がありませんでした。

●制約理論そのものについてもう少し詳しく知りたい(抽象的)
( 138票 )

●制約理論をどうMSTCで使っているかの例を知りたい(具体的)
( 146票 )


ご協力ありがとうございます。

あまり差がなかったので
きょうはもう少し、制約理論的な考え方が
どれだけあなたの仕事にも人生にも
インパクトを与える可能性があるかを身近に感じてもらうために
水野さんのエピソードを紹介しました。


水野さんの伝説はうろ覚えの記憶なので
正確な詳細はこちらに詳しく書かれてます。

『非常識な本質――ヒト・モノ・カネ・時間がなくても最高の結果を創り出せる』
 http://m2kt.net/kg2115/3901


次回から、
あまり抽象的になりすぎないようにしつつ
MSTCの事例で制約理論的な考え方を紹介します。

その際に、
同じ考え方をどうやってあなたの結果を変えて
人生の満足度を高めるために役立てるかを
意識してみることをおすすめします。


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~~前回までの内容おさらい~~
 制約理論(TOC)シリーズ
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(第1回)
■制約理論合宿のシェア
http://m2kt.net/kg2115/4901

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